まだまだ重要、競争戦略の名著
かなり古い本ではあるけれど、久しぶりに読み返してみて、本書の指摘は古いどころかようやく時代がこれに追いついてきたのかなと感じた。分厚い本だが基幹となる主張はシンプルだ。「競争優位」こそが企業戦略の要であるということである。日本企業もただ特徴のない商品でマーケットシェアを争うだけの競争が企業戦略の本質とはいえないということに、もうはっきり気づいてここ何年も多くの企業が必死に戦略の転換を図ってきたが、そのうちで成功したといえるいくつかのグローバル企業の足跡と本書の数多くの指摘を照らし合わせて見るとなかなか興味深いものがある。また、ポーター理論は、価値連鎖や相互関係といった「関係」を重視する傾向があり、この点で古くからグループや系列に基づく戦略を得意としてきた日本企業にとっては親和性が高いといえる。一見近寄りにくい本かもしれないが、難解ではない。今も変わらず、企業戦略に興味のあるものにとっ
て重要な名著である。
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